今野泰幸が本音で語るハリルJ。「自分はピンチヒッターみたいなもの」 (6ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 今野の言うことはよくわかる。

 メンバーを固定してきたザッケローニ監督と違って、ハリルホジッチ監督は一部の選手を除いて、そのときどきで調子のいい選手を起用し、どんどん選手を入れ替えていく。イラク戦のときには、それまで代表の常連だったDF森重真人やMF清武弘嗣、GK西川周作らが落選した。同様に、今野が「自分もいつか」と考えてもおかしくない。

「正直、ブラジルW杯でこてんぱんにやられて、どうやったら世界で勝てるのか、自分の中で答えが出ていないままだし、UAE戦はよかったけど、W杯本番で自分が同じようにできるかっていうとわからない。だったら、若くて、これから伸びる可能性がある選手に譲るというか、任せたほうがいいんじゃないかと考えてしまうこともある。

 それに、ロシアW杯には行きたいと思うけど、自分自身の性格から(そこに前向きになって、メンバー入りが)叶わなかったときのショックが大きい。それは、十分にありえることでしょ。もう少ししたら『全力でW杯を目指します』って言っているときがくるかもしれないけど、今の段階では目下のことが優先で、ロシアのことはまったく考えられない」

 今は本調子とは言えず、代表の選考も確固たる基準がないため、今野の言動はかなり慎重だ。自らの調子が上がってくれば、もう少し前向きになって、ポジティブな発言もどんどん出てくるのだろう。ただ、こうした今野の悩みや考えは、今の代表選手の誰もが抱えているものかもしれない。

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