今野泰幸が本音で語るハリルJ。
「自分はピンチヒッターみたいなもの」

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ただ、ハリルさんは日本を世界のスタンダードに近づけようと、いろいろなことに(あえて今は)厳しく言っている。昨今の欧州スタイルに、チームとしても、個人にしても近づけるのか、ということに挑んでいる」

 チームはまだ、道半ばという感じだろう。しかし、ロシアW杯まであと1年程度しかない。現時点でチームの完成度はどのくらいだと、今野は見ているのだろうか。

「チームの完成度とか、この先のこととか、考えられない。まず(大事なのは)予選突破ですよ。自分はずっと呼ばれているわけじゃないし、ピンチヒッターみたいなものだから、なおさら結果を出さなければならない」

 今野の言葉に少し驚いた。

 ハリルホジッチはある意味、UAE戦では今野の力を生かすためにシステムを変えた。ケガをしても、今野の様子を心配して復帰を待ち続けた。代表に必要な戦力として、その存在感はどんどん大きくなっているのだが、今野自身は自らを「代打」だと言う。

「UAE戦はうまくいったけど、自分がよかったのって、その1試合だけですよ。ザックさんのときは、コンスタントに呼ばれて試合にも出られて、W杯を目標にして(そこで)勝ちたいと思ってやってきた。でも今回は、2年ぶりに呼ばれて、前回とは立場が違うし、年齢も違う。

 その後、ケガしてほぼ試合に出ていない状況でまた代表に合流し、『UAE戦と同じようにやってくれ』って言われたけど、シリア戦ではダメだった。イラク戦はスタメンじゃなかったし、(途中出場しても)思うようにいかなかった。その評価から『はい、さよなら』っていう可能性もあるわけじゃないですか。そういうのを今までも見てきたので、先のこととか考えられないですよ」

5 / 7

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る