今野泰幸が本音で語るハリルJ。「自分はピンチヒッターみたいなもの」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 実際、イラク戦は先制点を取ったところまではよかったけど、後半は相手にしっかりボールを運ばれて、ボールにプレスにいけなかった。押し込まれて、ペナルティーエリア内にどんどんボールを入れられて、ピンチが増えた。(後半62分に)自分が入ったときには、その状況を変えるのはさすがに難しかった。勝たないといけない試合だったけど......」

 イラク戦に勝てば、8月のオーストラリア戦で引き分け以上なら、W杯出場を決めることができた。しかし、決め手を欠いて1-1のドローに終わった。

 試合後、本田圭佑は「監督の言うことを聞きすぎる。もっと自分たちで工夫して判断してプレーすべきだ」という提言をした。しかし、ハリルホジッチ監督は自らの戦術から逸脱して自由にプレーすることを許さず、試合中、選手たちの判断でボールを回し始めると「早く前に出せ!」と、ベンチから大声で指示を出す。

 そうした状況下にあると、若い選手などは「次は、(代表から)外されるかもしれない」と思って、監督の言うことを忠実に守ろうとする。うまくいっているときはいいが、劣勢になると縦1本の展開しかなくなって、アイデアのない攻撃は機能を失ってしまう。

「サッカーの試合では、監督の指示どおりにやればすべてうまくいくとは限らない。ときには自分で判断し、プレーしなければいけない。例えば、チーム内で縦に早く入れるという共通理解があっても、(縦に)入れて簡単に相手ボールになるんだったら、縦に入れないほうがいい。前線の選手が動いていても、自分の判断でミスになりそうだったら、(一旦ボールを)回して遅らせて、次に縦パスを入れる瞬間を待つとか、そういうのは自分で考えて、判断することは必要だと思う。

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