スペインの知将がイラク戦に直言。「日本は主導権を捨てたのである」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Amin M Jamali/Getty Images

 ところが、先制点を奪ってから、日本は攻守で安定感を欠いた。

「先制後、日本は戦略を変更している。ラインを下げ、プレッシングは消え、受け身になってしまった。試合のイニシアティブを失った(捨てた)のである。

 これによって、イラクが息を吹き返し、ボールをつなげるようになる。イラクの選手たちが落ち着きを取り戻し、ボールを回し、攻撃を展開。ポジショニングがよくなって、ことごとくセカンドボールを拾い始める。左MFのカミルがボランチと連係することで、質の高いボールを供給し、イラクが主導権を握り返した。

 そして後半になると、日本はリスクを恐れて長いボールを蹴るだけになってしまう。空中戦はイラクに軍配が上がった。こうして局面で後手に回ったことで、日本は持ち味としてきた速い攻撃も繰り出せなくなった。

 もっとも、日本はいくつかチャンスを創っている。57分、長友(佑都)が左サイドを攻め上がって、ゴールラインからマイナスのボールをゴール正面の原口に折り返すが、コントロールが乱れた。64分には、本田が中に入って、酒井が外を駆け上がり、大迫の決定機を創っている。本田、酒井のコンビネーションは数少ない収穫だったと言えるか......。しかし、日本の攻撃は単発で、全体的にイラクに押し込まれた」

 ハリルJAPANの失点は必然に近かったと言えるだろう。

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