ベルギー戦で試された「なでしこの3バック」で見えてきたもの (5ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 問題はやはり攻撃面だ。最終ラインは縦の展開を狙っていた。最終ラインの3人がボールを持つ前、必ず前線のスペースの確認をする。スイッチャーであるボランチの阪口も縦パスを狙い続けている。追求しているのは"怖さ"だ。

「横パスは言ってしまえば遊び。縦パスこそ攻撃のスイッチ」(阪口)になるという。今のなでしこには類まれな"うまさ"がある。しかし、バイタルで勝負する相手にとっての"怖さ"がない。誰でも得意なプレーで勝負したいと思うものだが、それだけではつながらない。時には自分たちの持ち味以外のことを織り交ぜながら、コンビネーションを作り出せない限り、この長いトンネルから抜け出す方法はない。

 ぶつ切り感のある今の攻撃力は、そのまま"個"の力と置き換えることもできる。"個"の強さももちろん求められるが、日本の十八番はやはりコンビネーション。所属チーム同士だけでなく、なでしこジャパンでなければ生み出せない"個"を生かしたコンビネーション攻撃が生まれたとき、なでしこジャパンは確実に強くなるはずだ。

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