ベルギー戦で試された「なでしこの3バック」で見えてきたもの (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 結局、このまま試合は終了。ヨーロッパ選手権を目前に控えたベルギー選手たちが抱き合う中、対照的になでしこたちの表情は沈んでいた。

 「何も起きなかった」――。高倉監督は厳しい口調でこう言った。そもそも、3バックは攻撃の厚みを期待してのものだった。ベースに据えるためではなく、あくまでもオプションのひとつ。高倉ジャパンとして約1年半経験を積み、7月にはアメリカ、ブラジル、オーストラリアと戦うアメリカ遠征を控えた今しかトライできなかったことでもある。

 3バックの視界を得ることで、この遠征のテーマだった"崩せる攻撃"に新たな一面を加える可能性があった。だが、結果としては、期待できる場面も見られたが、想定以上に攻撃が停滞してしまった。

 相手の対応が後手に回っている前半に決定機を量産できなかったこと。後半に主導権を握られたこと。これらを守備の要である熊谷は「相手がハメてきたのではなく、自分たちの(ボールの)取られ方が悪かった」と振り返った。

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