ベルギー戦で試された
「なでしこの3バック」で見えてきたもの

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 試合の立ち上がり、日本の4バックを想定していたベルギーは、中盤で数的優位に立ち、目まぐるしくボールを回していく日本に翻弄されていた。8分、DF裏へ狙いすました熊谷のロングフィードを阪口が頭でつなぎ、横山がミートさせたシュートはクロスバーを叩く。だが結果的には、この一連の流れが前半で最もキレのあった縦ラインの攻撃となり、守備を固め始めたベルギーを前に、徐々に前線にボールが入らなくなっていく。

 それでも、3バックの強みである中盤の厚みは攻撃に勢いをつけていた。最終ラインで攻撃起点を作り、阪口がスイッチを入れる。前線では田中が常に相手の背後を取る動きを見せ、横山は身長差のあるCBの足元で勝負しようとしていた。長谷川はいつものように縦横無尽に駆け回り、そこへ両サイドと中里らが絡みボールを回していく。

 中でもいい動きを見せていたのが、左サイドのウィングを担った杉田だ。慣れないスライドと、アップダウンの動きの中でも、受け身に回らないよう「先手を取りたい」という意識で挑んだ。守備では逆サイドを伺いながら時には最終ラインまで戻り、市瀬とサンドでボールを奪取。課題の攻撃では、熊谷からのロングフィードを足元にピタリを受け止め、そのまま前線にまで顔を出す。

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