心許ないハリルホジッチ采配。
イラク戦で「悪い予感」がさらに膨らんだ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Reuters/AFLO

 このイラク戦しかり。前半8分、CKから大迫勇也が頭で決めた先制点は、選手にとっても、ハリルホジッチにとっても、まさに悩ましい一撃になった。待望の先制ゴールを奪ったのに喜びがない。この先どうすればいいのか。虎の子の1点と捉え、大切に扱うべきか。選手はむしろ戸惑いを覚えている様子だった。

 プレーのリズムを決定するチームの心臓部は通常、守備的MFだ。チームによっては、そこにCBも加わる。ビルドアップの中心になる選手たちに、決定権は必然的に委ねられることになる。

 この日、守備的MFとしてスタメンを飾ったのは遠藤航と井手口陽介。遠藤航は、一時はよく使われたが、最近はあまり声が掛からなくなった選手で、所属の浦和ではセンターバックとしてプレーしている。一方の井手口も、シリア戦でデビューしたばかりの新人同然の若手だ。その背後で構えるCB2人のうち1人は昌子源で、この試合が代表キャップ4試合目の新参者だ。ヘソとなるべき4人のうち、経験者と呼べるのは吉田麻也1人に限られていた。

 ケガ人続出とはいえ、監督に、目的地から逆算する視点が欠けていたことは事実。だとすれば余計に、戦い方については監督から選手に、細心の指示が送られるべきだった。追加点を積極的に狙いにいくべきか、1-0でオッケーにするべきか。

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