シリア戦で露呈した危うい中盤。「今野泰幸頼み」で大丈夫なのか (5ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 先のタイ戦では山口と酒井高徳がコンビを組んだが、そうした新たなトライも、数をこなすことができていない。山口より今野をアンカーに据える方が、ずっと締まって見えると思うが、それもテストできていない。対応に遅れが目立つのだ。

 シリア戦で山口に代わって投入された井手口陽介は、まずまずのプレーを見せた。MFがガンバ勢(今野、倉田秋)だったことも、ゲームの流れにスムーズに乗れた理由だろう。とはいえ、この新人にイラク戦でも同様な活躍を期待するのは酷だ。

 DFはシリア戦の4人で大丈夫だろう。FWも大迫勇也を軸に、乾貴士もそこそこ期待できそうだ。人材はそれなりにいる。

 問題は中盤だ。シリア戦では後半の頭から、悩ましい選手の筆頭格である本田圭佑が登場。これで話はさらに面倒になった。ベストメンバーはここに来てすっかり五里霧中になった。ハリルホジッチのチーム作りは、目先の勝利を重視した場当たり的で計画性に乏しいものだとこれまで再三にわたり指摘してきた。長谷部の戦線離脱を機に、特に中盤で、そのツケが一気に噴出している。

 イラク戦の次は、オーストラリア戦(ホーム)とサウジアラビア戦(アウェー)だ。イラク戦の結果次第では大一番になる可能性がある。それに対する備えは不十分。アップアップの状態だ。

 日本の屋台骨は想像以上にグラついている。少なくともこの15年で最も危なっかしい状態にある。シリア戦の不出来を見ていると、そう思わずにはいられない。心配だ。

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