シリア戦で露呈した危うい中盤。「今野泰幸頼み」で大丈夫なのか (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 その山口は後半8分に、そして今野もその10分後、ベンチに下がった。屋台骨が不安定であることを露呈させた。

「もっと早い復帰を期待していたが、まだ、自分のコンディションを取り戻しつつある段階。我々が知っているトップフォームではなかった」とは、試合後のハリルホジッチの今野評だ。この言葉を聞いて、今野自身はどう感じただろうか。

「ではなぜ、代表に呼んだのだ?」。僕ならそう言い返したくなる。

 それはともかく、ハリルホジッチの就任当初も、今野はメンバーに入っていた。つまり一度、クビを切られた選手なのである。UAE戦で久方ぶりに招集されたとき、「なんで俺がいまさら」という顔で、きょとんとしていたが、その思いはいまも残るはずだ。

 ロシアW杯本大会(2018年6月)を35歳で迎える今野。久方ぶりに表舞台に立たされることになった彼に、ハリルジャパンの中心選手であるという自覚、当事者意識はどれほどあるだろうか。「助っ人」のような感覚をぬぐい切れずにいると思わざるを得ない。

 だがもし長谷部に続き、今野までいなくなると、そこには崩壊の危機が待ち受ける。山口は長谷部、今野の域にはまだ達していない。日本の軸に成長していく雰囲気がまだ見えずにいる。そこに「長谷部ありき」でやってきた弊害を見る気がする。

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