シリア戦で露呈した危うい中盤。「今野泰幸頼み」で大丈夫なのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 守備的MF(4-3-3のアンカー)として出場した山口蛍は、負傷の香川に続き、後半8分、早々とベンチに下がった。このポジションは4-3-3の肝となるチームのヘソだ。これほど早い時間の交代は普通ではない。しかし、山口のプレーを見る限り、それは妥当な選択に思えた。

 この選手にこの役(4-3-3のアンカー)は難しいとは、タイ戦後の原稿でも記したが、シリア戦でも(先入観なく見たつもりだが)、全く同じ印象を抱くことになった。ソツなくこなす器用さはあるが、場を仕切れない。ピッチの隅々まで目配りできない。展開にリズムを与えることができない。進む方向性に難がある。失敗を恐れ、無難なプレーに走りがち。ボールは行き場を失い停滞する......。山口を介して「気」が滑らかに各所に循環していかないのだ。

 ハリルホジッチが布陣を、アンカーを置く4-3-3にしたのは、長谷部誠が負傷で戦列を離れたUAEとのアウェー戦(2017年3月)からだ。それ以前の布陣は4-2-3-1で、山口は長谷部とともに「2」を担当していた。両者の関係もキャラ的にベストとは言えないが、キャプテン長谷部の存在に、山口はずいぶん救われていた。彼は長谷部を傍らでソツなくサポートする裏方に徹することで、及第点の評価を得ていた。

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