なでしこエースも大変身。長野パルセイロ「肉体改造」の驚くべき効果 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

「オフシーズンに、練習前に競技トラック1周走を5本やるのは本当にきつかった! 今年は雪で走れなくて、南長野のスタジアムのコンコースを走ったんですけど、それもきつかったですね。練習前ですから。そのあとまたチームのメニューで走るという......」

 以前の横山では考えられないほどの"走り"漬けの日々は裏切らなかった。試合でハートレートモニターをつけるようにもなった。これで総移動距離と心拍数の推移が確認できる。昨シーズンであれば7km前後だったものが、現在は9km程度の平均に上がってきている。それでも、本人評価は厳しい。

「まだ90分走れているとは言えない。でも、後半に点が取れるようになったのは変化ですかね。後半でも力のある走りが1本出るようになった、と樋口さんは言ってくれます(笑)」

 練習前に走る環境がないことが、逆に不安になるというところまでルーティン化した彼女の走力アップメニュー。樋口コーチはさらなるアドバイスを送る。

「彼女の場合は足が速いわけではないんです。それでも突破できるのは緩急に長けているから。それを試合後半まで持続させることができれば、90分間通して脅威な選手になる。ゲーム中の総移動距離が伸びていることは能力が上がった成果だとは思います。今後は、加速・減速といった持ち前の緩急を終盤まで発揮し続けられるスプリント能力の獲得が必要だと思います」

 今年7月のドイツ移籍後はまた環境が変わる。ここからどのように変化を遂げるのか非常に興味深い。

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