結果オーライの引き分けの中、イタリアを翻弄した堂安律はスゴかった (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ、佐野美樹●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi,Sano Miki

 また、「(3点目を取って)ハットトリックしたかった」と語る堂安が、これほどゴールにこだわるのには、左ヒザの負傷で戦線離脱を余儀なくされたFW小川航基の存在も大きく影響している。

「航基が今まで数々のピンチを(ゴールで)救ってきた。アイツがいなくて、点を取れる選手がいない分、そういう役割を自分がしてやろうと思った」

 有言実行の2ゴール。それでも堂安は、「(勝てずに)引き分けだったが、こういう負けている内容から追いつけたことはチームにとっても個人的に自信になる」と語る一方で、自戒も忘れてはいなかった。

「それ(リードされてから火がつくこと)が悪いとこなんで。自分でスイッチを入れないとダメだと思う」

 リードしたあとの試合運びには世界的に定評のあるイタリアにとって、2点リードを追いつかれるなどということは、まさかの展開だったに違いない。イタリアのアルベリコ・エバーニ監督は「スタートはとてもよく、2点は美しいゴールだったが、その後、集中が切れてしまった」と反省の弁を口にしながらも、「この結果につながったのは、日本のチームがとてもよかったからだ」と称えたのは、決して社交辞令ではなかっただろう。

 試合はこのまま、勢いに乗る日本が逆転勝利へ向けて攻め続けるのか、とも思われたが、ここから先は、この試合の本来の位置づけにふさわしい展開へと収束していく。

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