U-20W杯に思う。今こそ日本サッカーは「育成指導者」の育成が必要 (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 確かに日本にも、中山雄太(柏レイソル)や原輝綺(アルビレックス新潟)、堂安律(ガンバ大阪)など、国内トップカテゴリーのJ1で活躍する選手もいるが、ヨーロッパとのレベル差は大きい。残念ながら、日本の選手にとってはU-20W杯が経験を積むための最高の舞台であり、そこにあらためて育成面における世界との差を痛感させられる。

 では、日本はその差を埋めるために何をすべきなのか? その答えは、やはり世界各国にコピーされているフランスの育成システムがヒントになる。中でも、育成におけるフランスと日本との決定的な違いとなっているのは、「育成専門指導者」の育成だ。

 通称「フォルマトゥール」。これはフランス語で「育成する人」を意味する単語だが、フランスの育成システムの中では「育成指導者を育成するための専門指導者」を指す。フランスは、歴史的に長い時間をかけ、世界トップレベルのフォルマトゥール集団を作り上げることにエネルギーを注ぎ、常に世界最先端に立てるように現在も切磋琢磨を続けている。

 フランスが、ヨーロッパの移籍マーケットで注目される若手選手を毎年のように輩出できるのは、「ダイヤの原石」の質と量はもちろん、彼らを育てる有能な指導者が数多く存在しているからに他ならない。これは卵が先か、にわとりが先かの話ではない。いくらいい畑や種があっても、優秀な農家がいなければ良質な作物は育たない、という論理だ。

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