タイに大勝でも日本代表に問題点。「長谷部の代わりの今野の代わり」 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 長谷部、今野がケガで戦列を離れたための応急措置と言えば聞こえがいいが、今野は先のUAE戦まではメンバー外だった選手。ケガ人は事実上、長谷部1人だろう。それなのにこの有様。ドタバタ劇に見えてしまう。

 長谷部が離脱すると、ハリルホジッチは「長谷部なしのチームは考えられない」と嘆いた。しかし、長谷部不在を想定外とするチーム作りをしてきたのは、他ならぬハリルホジッチ自身だ。34歳5カ月でW杯本番を迎えるベテランを、唯一無二の存在に仕立て上げた。そのリスク管理を怠ったツケが露呈しているのがいまの姿だ。

 今野に代わりに追加招集された遠藤航は、所属の浦和ではセンターバックとしてプレー中だ。守備的MFとしての勘が鈍った状態にある彼を、今野(長谷部)の代役として招集しても、試合で使えないことはわかっていたはずだ。そこに引き出しの少なさが見てとれる。

 UAE戦では代役の今野が長谷部を上回る活躍を披露した。「長谷部なしのチームは考えられない」との台詞は、今野の活躍ですっかり重みを失った状態にあるが、いずれにせよ、ハリルホジッチは今野に救われ、窮地を脱した。

 だが、サッカーの神様は、結果オーライのハリルホジッチ采配に新たな試練を課す。今野のケガだ。そしてその結果、ハリルホジッチはタイ戦に山口、酒井高を送り出す選択をした。

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