引きこもるタイを釣る。日本代表は「ブラジル戦の撒き餌」を思い出せ (4ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 引いてダメなら押してみな、押してダメなら引いてみな――。そんな臨機応変な戦い方に長けた集団がいる。サッカー王国、ブラジル代表である。

 思い出すのは、ザックジャパン時代の2012年10月、ポーランド・ヴロツワフでの一戦である。

 開始直後からブラジルは積極的にプレスを仕掛け、中盤でも激しく囲い込んできたが、ミドルシュートで先制した途端、日本にボールを持たせ、カウンターを繰り出すようになる。

 その後、PKで2点目、カウンターから3点目を奪ったブラジルは、今度はボールポゼッションに入った。それは日本を揺さぶるためであり、ボールをキープして日本に攻撃の機会を与えないため。前からのプレス、リトリート(自陣に下がって対応)からの速攻、多目的のポゼッションを使い分けた彼らは、まさに試合巧者だった。

 試合後、ザックジャパンの選手たちは0-4で敗れたもののブラジル相手にボールを保持できたことに手応えを覚えていた。だが、1年後のコンフェデレーションズカップで再戦して惨敗したとき、実は「持たされていただけだった」と気づかされることになるのだ。

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