本田圭佑は毒か薬か。「落選リスク」を回避したハリルホジッチの思惑 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Sano Miki

 岡田サンは2度目の代表監督を務めた際にも、難題に遭遇した。チーム力は2010年W杯の足音が近づくにつれ低下。本大会への期待度は急降下した。そこで岡田サンは中村俊輔をベンチに下げ、本田をセンターフォワードで起用した。W杯本大会初戦、対カメルーン戦にぶっつけ本番で。この作戦が奏功。日本はベスト16入りを果たした。

 7年前、中村俊輔を抑えてエースの座に就いた選手が、今回はその時の中村俊輔の役を演じることになるのか。いや、現在の本田は、その時の中村俊輔よりさらに悪い状態だ。岡田サンは少なくともW杯の1年前まで、中村俊輔を遠藤保仁とともにチームの中心選手として扱っていた。

 ハリルホジッチの本田への信頼度はそこまで高くない。昨年11月のサウジアラビア戦ではスタメン落ち。交代出場にとどまっている。今回の代表発表記者会見の席上でも、「試合に出場しなくても必要な選手だ」と、存在感は認めても、「実際に使うかどうかは別」としている。

 W杯本番まで1年3カ月近くあるこの段階で、青息吐息の状態にある本田。それでも代表に招集すべき人材なのか。ファンの意見はほぼ真っ二つに分かれるようだが、「落選」となれば初めて下される決断だ。大きな波紋を呼ぶことが予想される。招集すれば、それはそれで物議をかもすだろうが、より大きな騒ぎになるのは落選。招集には、「試合で使わない」という選択肢も残されている。

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