熊谷紗希と新SBコンビの中村楓は、なでしこ鉄壁の守備を築けるか (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・撮影 text&photo by Hayakusa Noriko

 フィジカル面から考えても、スピード勝負に持ち込まれると分が悪い日本は、ラインコントロールに神経を使い、攻撃のために高い位置まで自らボールを運ぶこともしばしば。そこから生まれる好機は多いが、その際に空いたスペースのリスク管理は必須だった。

 中村は冷静かつ確実に、熊谷がピンチを摘み取るときや、攻撃の構築に関わる際のカバーリングをこなしていく。17分には、昨年度のフランスリーグ及びチャンピオンズリーグ得点女王のアダ・ヘゲルべリに、スピードで一気にバイタルエリアまで運ばれたが、体を寄せてラインを割らせる対応を見せた。

 もちろんすべて完璧とはいかず、出遅れたために完全に振り切られることもあった。49分にも訪れたアダ・ヘゲルべリとの勝負は、強烈なシュートを許してしまう。これはGK池田咲紀子(浦和レッズL)のファインセーブで逃れたが、体を寄せに入った段階ですでに、後手に回るタイミングだった。

「寄せる寄せないの判断が遅いとスピードに対応できない。ラインコントロールも課題」と本人は反省しきりだったが、それでも熊谷のピンチを助ける場面も一度や二度ではなく、その動きは次第によくなっていった。フィードの精度など、これから克服すべきことは少なくないが、それが可能性というものだろう。熊谷との相性もよく、楽しみなセンターバックが現れた。

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