北川ひかる、ほろ苦いなでしこデビュー戦も「自信を持って帰りたい」 (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・撮影 text&photo by Hayakusa Noriko

 ピッチでは阪口がなんとか立て直そうと、ポジションを調整しながらあの手この手を試そうとするも、試す前に奪われてしまう繰り返し。結局は高めの位置にいてほしい阪口を守備側に引き留めざるを得なくなってしまった。奪っても受け手がいなければ、ボールは動かない。

 そんな中、なでしこジャパンデビューを果たした、もうひとりの選手が北川ひかるだ。U-17世代から、高倉イズムを叩き込まれてきた秘蔵っ子でもある。

 北川は、昨年11月に開催されたFIFA U-20女子ワールドカップ(3位)を終え、満を持してなでしこ入りしたレフティ。現在なでしこは、サイドバックが人材不足で、19歳という年齢から見ても新戦力としてなんとかフィットさせたいところだ。

 ところが前半、北川のみならず全体的に出足が遅れたことで、攻守にキレを欠いた。何とか持ち前のビルドアップを狙う北川だったが、昨日の練習で組んでいたのはこの日、右サイドに入っていた中島。中里とはぶっつけ本番ということで、連係がモタつく場面も見られた。

 見た目からは想像できないほど強気な姿勢を貫く北川。U-20でも、「絶対に決勝の舞台に立つんだ」と闘志を隠さず、ピッチを駆け回っていた。「対人では負けたくない」「フィジカルが弱いことを言い訳にしたくない」など、彼女の口から発せられるのは、おそらくはこれまで言われて悔しかった言葉なのだろう。弱点を払拭するための努力を惜しまない生粋の負けず嫌いだ。

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