北川ひかる、ほろ苦いなでしこデビュー戦も「自信を持って帰りたい」 (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・撮影 text&photo by Hayakusa Noriko

 なんとか流れを変えようと後半から横山久美(AC長野)、初招集の長谷川唯(日テレ・ベレーザ)を投入した高倉監督。相手に食いつき過ぎたプレスを修正し、徐々にボールが落ち着いてきたものの、形勢逆転とまではいかない。59分にメセゲルにミドルシュートを決められ先制点を許すと、71分にはGK山根のクリアボールを奪われ、そのままオルガにゴールを許し2失点。

 これでトドメを刺されたかに見えたが、淀みかけた空気の中で気を吐いたのは若い2人だった。左サイドの長谷川は序盤こそ自分のエリア内でのボールに絡む動きにとどまっていたが、徐々に状況を見ながら中央に入り込むリズムを生み出していた。

 そして81分、その長谷川が絶妙なスルーパスを前線へ送ると、うまく裏へ飛び出した横山がGKの股を抜いて1点を返す。その7分後にはCKから宇津木瑠美(シアトル)が相手DFの重心の逆をつく力強いグラウンダーパス。それを受けた横山の、「ファーサイドかニアサイドか迷った......」というシュートは惜しくもブロックされた。本人も先制ゴールを消し去るほど後悔をしていたが、やはりこのチャンスをこの時間帯に決められるようにならなければ、日本がこれから厳しい戦いを制していくことは難しいだろう。横山はその重責を担う資質を持っているだけに、待っている試練はより大きい。実際、この瞬間がこの試合の勝負どころだった。

 それにしても、この日の日本は少しビビり過ぎていた。相手のプレスを避けるあまり、パスミスが続出。前半はセカンドボールをほぼ支配されていたし、ゴールキックやまさかのスローインまでコントロールできないという状態に陥ってしまった。

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