前園真聖が語る日本代表。
「本田、長友は大丈夫だけど、香川は心配」

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro
  • 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo


 一方で代表の主力として牽引してきた本田、香川、長友佑都の3選手は、この冬に移籍はしませんでした。若い頃から代表で存在感を発揮してきたので、彼らはベテランのように扱われますが、本田と長友が30歳、香川が27歳と、まだまだ老け込むような年齢ではありません。確かに20代前半の頃と比べれば、肉体の回復は遅くなってきますが、彼らがW杯アジア最終予選の前半戦で不調だった要因ははっきりしています。クラブで試合に出られていないことに尽きます。

 そうした状況を理解しながらも、彼らは試合に出られる環境に移ることを選びませんでしたが、実は僕は本田と長友については心配をしていません。彼らはこれまで何度もチームで出番を失いながら、そのたびにポジションを取り戻してきた実績があります。また、クラブで出番がない時にも日本代表でしっかりと最大限のパフォーマンスを発揮してきた経験もあります。何より、厳しいメディアの目に晒されながらも、ミランやインテルといったビッグクラブで、それをやり遂げてきたメンタルの強さがあるので、彼らはW杯アジア最終予選が再開されたときに、本来のパフォーマンスを見せてくれると期待しています。
 
 ただ、香川は心配な存在です。逆境を跳ね返す経験値が高い本田と長友に比べ、彼はチームでポジションを失った後に奪い返した経験が少ない。狭い局面でクイックネスを求めるプレースタイルなので、コンディションの良し悪しがダイレクトにプレーに出やすいため、出場機会が多くないだけに自分のなかのイメージの溝を埋めることができずにいるのかもしれません。幸い、香川の場合は先発起用や途中出場の機会が時々与えられているので、数少ないチャンスを生かしてポジションを奪い返すことが大切です。

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