新生なでしこで、宇津木瑠美が願うこと。「もう一度、あの熱い思いを」 (6ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・撮影 text&photo by Hayakusa Noriko

「もちろん簡単に比べられないけど、これまでのなでしこは、澤さんのために1試合でも多く試合をしようとか、(宮間)あやのために負担をみんなで減らそうとか、自然と自分よりもチームのために何をすべきかを考えている自分に気づかされることが多かった。それって団体スポーツのあるべき姿だと思うんです。今のなでしこで自分はまだそれを見い出せてなくて、みんなもそれはまだわかってない。これからのチームだから。でも、自分がミスしても、自分が交代しても誰かわかんないけど、チームのためになるならそれでいい! って思えるようなチームでいたいし、そんな自分でいたいです」

 宇津木が、タイトルから縁遠かった、なでしこジャパンの苦悩時代を知る最後の世代となるだろう。フランスで理不尽さの中から自分の可能性を見出し、広い視野を求めながら渡ったアメリカでプロのアスリートの生きざまを目の当たりにもした。さまざまな角度からエネルギーを吸収してきた宇津木が、サッカー人生の集大成として求めたものが"熱さ"だったことに、わずかな驚きと隠し切れない喜びを感じる。この感性が、若きなでしこたちとどのような化学反応を起こしていくのか。28歳の宇津木が見せる戦いぶりを見逃さないようにしたい。

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