新生なでしこで、宇津木瑠美が願うこと。
「もう一度、あの熱い思いを」

  • 早草紀子●取材・文・撮影 text&photo by Hayakusa Noriko

 昨年5月、アメリカ遠征中にこぼした宇津木瑠美のある言葉がずっと心に引っかかっていた。「完全に出遅れた」――。

 当時アメリカは、リオオリンピックに向けた強化の最終段階に差し掛かっていた。その翌月の海外遠征で対戦したスウェーデンもしかり。いわば前チームの編成なのだ。

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3月のアルガルベカップに召集された宇津木瑠美3月のアルガルベカップに召集された宇津木瑠美 日本はリオデジャネイロ大会の出場権を得られなかったことで、新チーム着手としては一歩リードしている時期でありながら、それでも宇津木は焦りを感じずにはいられなかった。

「オリンピック予選に負けたからっていうより、常にだったんですけど......、そもそも戦う引き出しを持っていないってことに自分は気づいていなかった。自分たちが思い描く世界観の中でしか戦えていなかった。他の国の成長の速度を見れば、日本がどれだけ出遅れているのかわかる。それがもっと色濃くなったのがスウェーデン遠征でした。スウェーデンはヨーロッパでずっと評価されてなかったけど、確実に私たちが気づく前にスタートを切っていたなって。スウェーデンの選手たちがスタートを切っていることに気づけていなかった。自分はチームメイトにスウェーデンの選手もいるという環境だったにも関わらず、です」

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