日本、欧州、米国を知る宇津木瑠美が語る、プロの女子サッカー選手とは (6ページ目)

  • 取材・文・撮影●早草紀子 text&photo by Hayakusa Noriko

「オンとオフとハッキリさせたいから、ナホ(川澄)だけじゃなく、チームメイトとプライベートで食事に行くことはあまりないですね。伝えたいことはピッチで話すようにしています。私だけの感覚かもしれないですけど、女性って集まってもお互いの悪いところを指摘し合うってことはあまりしないでしょ? 密になっちゃうと何かミスがあったときに伝えにくくなりません? 私はなってしまうので......。監督とのスタンスも同じですね。」

 あくまでもピッチの上で、全力で向き合うのが宇津木流ということだ。確かに、ピッチではとにかく選手の動きをよく見ている。ヨーロッパを経験した彼女ならではの感覚なのかもしれない。

 日本、フランス、そしてアメリカ。28歳で世界の主要なサッカーを経験している日本の主力選手は宇津木しかいない。計らわずとも動くべきタイミングでアメリカへ渡った。はたから見ればエリートに映る彼女が常に向き合うのは自分自身。弱さに直面し、逃げ出したいことも少なくないはずだ。

 それでも、宇津木は決してそこから目をそむけない。繊細さと逞しさを備えた稀有な存在であることは間違いない。そこに芽生えた不器用なしなやかさが宇津木のプレーを際立たせる魅力なのだと改めて感じた。

(つづく)

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