日本、欧州、米国を知る宇津木瑠美が語る、
プロの女子サッカー選手とは

  • 取材・文・撮影●早草紀子 text&photo by Hayakusa Noriko

「1試合4000~5000人のお客さんが入るので、エンターテインメント性はすごく高い。でも(海外挑戦するには)シーズンも短いし、自覚の強いスター選手たちの中に、もし経験の少ない10代の選手が放り込まれたら、いきなりスター扱いされて......後に何も残らないというのが怖いですよね。アウェーだと1試合で3泊4日なんですけど、その試合に出られなかったら4日無駄にしていることになる。1週間のうち残り3日しかない中で10代そこそこの選手が逆算して自分でメニュー組むなんてこと、絶対に考えられないと思う。

 もし海外に行きたいのであれば、ヨーロッパでしっかりと長いシーズンを過ごして、アウェーの洗礼を受けながら理不尽なことも当たり前だって思える時間が必要かな。大人になっていく過程で自覚、表現することの大切さを痛感するはず」

 これまで戦う相手として見てきたビッグネームが今はチームメイト。これも海外移籍の醍醐味である。

「アメリカ代表のミーガン・ラピノーはどんなときでもラピノー(笑)。魅せるし、表現豊かだし、オシャレ! 彼女はアスリートとしても自覚がしっかりあるから、自分のパフォーマンスの出来に関係なく、ファン対応をするし、どんなときでもしっかりと発信する。ホープ・ソロは多くは語りません! という感じ。自分が強くいるために常に自分にプレッシャーをかけて、立っているだけで引き締まるような雰囲気を常に持ってる。並大抵のもまれ方じゃないですね(笑)。100m先にいてもわかりますよ」

 今はチームメイトに川澄奈穂美がいるが、日本人同士で固まるということは一切ないのだとか。

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