日本、欧州、米国を知る宇津木瑠美が語る、プロの女子サッカー選手とは (4ページ目)

  • 取材・文・撮影●早草紀子 text&photo by Hayakusa Noriko

 その想いが吹っ切れたのが"迷い"が消え始めた時期だ。「"どこでもできる"それが私だ! 」と体全体で語っているようだった。それでも未だに不安がかすめることはあるという。

「開き直ったのかな(笑)。できることとできないことをハッキリさせた方が、周りに迷惑かからないでしょ。だってミスするってわかっていたらカバーするけど、ミスしない雰囲気出しといてミスされたら......ねえ?(笑)」

 これもフランスで得た感覚なのだろう。しかし、ここに至るまでの苦悩は......。

「とてつもないですね。でもだからこそ、あることしかできない選手がいたら『あなたはこれができるでしょ。私が持ってないものを持ってるじゃない』って言ってあげられる! それでその選手は自分のことを少しポジティブに思えるでしょ?」

 一瞬、自虐的に聞こえるが、それを彼女のクオリティで語られると、そうはならないのが不思議だ。アメリカでも同じような感覚になったのだろうか。

「アメリカはサッカー面ではなく、彼女たちが持つ自覚にカルチャーショックを受けました。実際にアメリカは規律正しいし、真面目だし、日本にすごく似ていると思いました。だけど発信する力、個々のエネルギーっていうのは偉大でした。あとは誇り。アメリカ人でさえアメリカに憧れている。そこに私はある意味ジャパニーズコンプレックスを感じました」

 新たな刺激を受けながらアメリカで過ごしたことで、感じたことがあった。

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