それぞれの立場で。永里優季・亜紗乃が描く「日本女子サッカーの未来」 (5ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

――具体的には?

優季 プレーヤーとしての成長はマストだけど、それプラス自分は女子サッカー界のため、社会のためにどんなバリューを提供できるかっていうこと。それを視野に入れた活動は増やしていきたいと思っているし、女子サッカー選手を目指す、プロサッカー選手を目指す女の子が当たり前になるような社会にしていきたい。今だとその夢は描きづらいですよね。ワールドカップ優勝してから5年も経っているのに何も変わらなかったっていう現状があるから、本気でそこを変えるために取り組んでいかないといけないと思っています。

――いろいろ突き抜けた感じですね。

優季 サッカーって、社会があって成り立ってる。その社会の流れや仕組みを理解しないと改善はされないし、社会との関わりをもっと持っていかないといけない。選手は完全に隔離された鎖国みたいな環境の中にいるから。現役中に自分が強みにできること、興味あること、武器になることを見つけていかないと。もう現役選手がその競技にだけ集中してればいいっていう時代は終わったと私は思っています。

――サッカーだけの人は、サッカーという枠がなくなったときが問題ですね。

優季 そういう人をできるだけ減らしたいから、活動をしていきたいんです。ただ現役中にそういった学ぶ機会がないだけで、もちろん選手が自覚を持ってそういった場に出向くというのは必要ですけど、提供さえすれば機会は生まれますから。

――亜紗乃さんは、2017年をどんな年にしていきたいですか?

亜紗乃 今年は大きな大会がない年だからこそ、個人的には女子サッカーファンを増やしたいです。ちゃんとサッカーを見て、ファンになってほしい。だからリーグも質の高いサッカーをしなきゃいけない。あと、一番気になっているのが海外に出る選手をあまりよしと思っていないこの日本。そこはぜひ変えていきたい。海外サッカーをもっと発信できたらなって思うし、海外に行く利点を自分の経験を踏まえて、もっと発信していかなきゃいけないと思っています。それが私の2017年の目標です!

 それぞれの道を歩んでいる2人だが、共通しているのは女子サッカーへの熱い想いだ。それぞれの立場からできることを始める。永里姉妹のみならず、こうした想いを抱いて活動している選手や元選手は多い。今はまだ種を蒔いたばかりでも、いつか必ず芽を出し、育つときがやってくる。彼女たちがどのようにその種を育てていくのか。新たな楽しみがまた2つ増えた。

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