それぞれの立場で。永里優季・亜紗乃が描く
「日本女子サッカーの未来」

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

――その中でも、いろんな意味で見直すことは必要なのでは?

優季 それももったいない。去年はドイツの試合とか、ヨーロッパの試合とか結構見たんですけど、ドイツ、ノルウェー、スウェーデンはかなりの勢いで進化してる。すでに出遅れていると感じます。

――リオオリンピックでのスウェーデンはチャレンジャーとしての戦い方と、攻めるときに戦い方のモチベーションの使い分けがすごく上手でした。あれを見て、日本だってメリハリの利く戦い方はできるはずだと感じてしまいました。

亜紗乃 日本は弱点をなかったことにしますよね。弱点に目を向けないっていうか。日本人ってカウンターをあまりしないじゃないですか。足が遅いからって。でも、カウンター(の成否)ってそんな単純な理由じゃないと思うんです。その一点だけでカウンターは無理だみたいな、弱点は無視っていうような風潮はもったいない。

――そういう見方もあるんですね。逆かと思っていました。カウンターは単調な攻撃で、まわして崩す方が高度、といったような具合に長所を立てすぎているのかなと。

亜紗乃 長年なでしこリーグを見ていても、国内だとできちゃうからフィジカルを軽視している気がします。

優季 ドイツやアメリカはもちろん、リオオリンピックではスウェーデン、カナダ、オーストラリアがひとつ上にいったなって感じました。この3チームは、もともとフィジカルやスピードを持っていたけど、それを生かす戦略と戦術がなかった。それを身につけたから、今はワンランク上のサッカーを体現できている。オーガナイズの仕方がいいんだろうし、その差が出てきてしまっているのかなって思います。

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