澤穂希はいなくても。若手の成長でINAC神戸が皇后杯を2連覇 (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 4度目の挑戦にして、あと一歩のところまでタイトルに迫った好敵手・新潟も120分間、すばらしい粘りを見せた。特に守備の要である中村楓の嗅覚は目を見張るものがあった。絶妙なタイミングで飛び出す大野、代わって入った増矢を筆頭にスピードあるINACの攻撃陣を最後のところでねじ伏せていたのが中村だった。「力不足です......」と、結果に悔しさを滲ませたが、「最後まで体を張れた」と本人も手ごたえは感じている。周りの選手をしっかりと動かしながらも最後は1対1でしっかりと仕留める。最後までその集中が切れることはなかった。

 すべて決勝の相手はINACというのも何かの縁を感じずにはいられない。「今年こそ、このメンバーでタイトルを!」と臨だが、またしてもすんでのところで栄冠がすり抜けていった。最後は選手層と、経験の差が出てしまった感も否めないが、それでも、ゴールへの執念、堅守への誇りを十分に示したスコアレスドローだったのではないだろうか。勝者も敗者も、互いに決定機を決めきれない課題が残りはしたが、来シーズンへつながる戦いとなったことは間違いない。

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