澤穂希はいなくても。若手の成長でINAC神戸が皇后杯を2連覇

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 女子サッカー2016シーズン最後のタイトルとなった皇后杯。なでしこリーグカップと、なでしこリーグの2冠を達成していた日テレ・ベレーザが準決勝で姿を消すなど、波乱があった。決勝も延長、PKにまでもつれ込む激戦となり、INAC神戸がアルビレックス新潟Lを下し、2年連続6度目の栄冠を手にした。

澤穂希が抜けても勝てるチームとして力を証明したINAC神戸澤穂希が抜けても勝てるチームとして力を証明したINAC神戸 先に仕掛けたのは新潟。先手必勝とばかりに、立ち上がりから積極的に攻め上がる。準決勝で決勝ゴールを決めた左サイドハーフの八坂芽依がこの日も好調。開始早々にシュートを放つと、10分には大石沙弥香が前線で体を張ってキープしていたボールをフィニッシュに持ち込む。18分には上尾野辺めぐみのシュートの跳ね返りを大石が押し込みにいくなど、新潟の攻撃は活気づいた。INACも次第に好機を生み出す。24分には中島依美のシュートがクロスバーを直撃、京川舞が詰めるもゴールはならず。目まぐるしく主導権が変わる展開はその後も続いた。

 後半、INACの松田岳夫監督はボランチに杉田妃和を送り出すと、この杉田が縦パスで一気にチャンスを生み出したかと思えば、横パスで効果的にサイド攻撃を促すなどメリハリの利いた動きを見せる。多少のポゼッションは譲っても、高い位置でボールを奪うことで、効果的なカウンターを生み出していた新潟が、セカンドボールを追う形が増え始める。連戦の疲労もあってか、徐々に後手に回り始める新潟のプレス。その間を縫うようにパスがつながり始めたINACは61分、大野忍がオフサイドぎりぎりのところで折り返したボールに高瀬愛実が飛び込むが、これもバーに阻まれる。大きな決定機だった。

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