ハリルジャパンを引っぱる原口元気の実感「豪州戦が分岐点だった」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文 text by Sato Shun
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 原口が日本代表で点を取れているのは、所属するドイツのヘルタ・ベルリンでプレーしているときよりも、ペナルティーボックス内に侵入する回数がはるかに多いからだ。サウジアラビア戦のゴールも、中央の開いたスペースをスルスルと上がっていって、左サイドバック・長友佑都からのクロスをボックス内で待ち受けて、落ち着いて決めた。だが、ヘルタ・ベルリンでは、サイドからのクロスもボックスの外で待って、こぼれ球を狙うことが多いという。

「ヘルタでは、代表の試合のように、あんなに多くゴール前に入れないです。サッカーが違うし、自分の役割も違う。サイドの守備がすごく求められるし、サイドからのゴールも必要とされる。ヘルタの監督は(試合における)数字を見て選手を選んでいくので、数字がないと"土俵"には立てないんです。そのために、結果を残さないとダメなんだけど、中にも入れないし、なかなかね......。今季はまだ1点も取れていないんで、いい加減取らないと。そこは、代表で4点取ろうが関係ないですから」

 ヘルタ・ベルリンでは今季、ゴールこそまだ奪えていないが、守備でチームの勝利に大きく貢献している。だからこそ、スタメンで起用されているのだが、その守備は日本代表でもゴールと同様、いやそれ以上の役割を果たしていた。

 球際で激しく、前からアグレッシブに行きながら、自陣まで戻って体も張る。さらにボールを奪ったら、そこからスピードを上げて攻撃に転じる、切り替えの速さが原口にはある。それは、「元気スタイル」とも言うべきもので、今や代表が躍動するには欠かせない、ひとつのシンボルになっている。

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