U-20W杯スペイン戦の敗戦は、
ヤングなでしこ世界一のための授業料

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 後半、初戦でハットトリックを達成した上野真実(愛媛FCレディース)を投入し、攻撃に変化を加えようとする高倉監督の狙い通り、ようやく日本らしい攻撃が見られるようになった。しかし、続けざまに展開することができないまま時間だけが過ぎていく。

 そして81分、FKをクリアしようとした羽座妃粋(はざ ひすい・日体大FIELDS)がハンドを取られてPKを献上。意図的なものではなかっただけに不運としか言いようがない。これを決められて0-1とされ、結果としてこのPKが決勝点となったが、敗因は他にもある。

 高倉監督の言葉を借りれば、「ゲームコントロールをされた」ということになる。シュート数では日本がスペインを上回っているものの、実際にはスペインのプレーが印象に残る。ボールの奪いどころを明確にすることで、球際の争いはほとんどスペインが勝っていた。これはフィジカル云々の問題ではない。主導権を握りながら攻撃を組み立ててきた日本は、長く逆境に立たされる展開に慣れていないことも焦りを招いた。

 個の持つ力が多彩であることも魅力ではあるが、そのなかでも率先して舵を切り、切り替えを図れる存在が必要だ。何かのきっかけひとつで流れは変わるもの。自分たちのスタイルを変えることなく、臨機応変に引き出しを増やすことはできるはずだ。この世界大会の1戦ごとのチャレンジが大会終了後の成長に直結する。計算できない伸びしろこそ、この世代の醍醐味なのではないだろうか。

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