サウジに勝利も、Jリーグ軽視の
ハリルに次戦までの代表強化は望めない

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 指揮官の「海外組偏重」は、今に始まったことではないとはいえ、極端に強い。

 確かに、ハリルホジッチ監督が強調する「デュエル(1対1)」に代表されるように、海外スタンダードに日本が追いついていない点は多々ある。その不足部分を少なからず備えているのが、海外組なのだろう。

 だが、これほどまでにJリーグを軽視することが、本当に得策なのだろうか。日本代表の強化につながるのだろうか。

 なるほど、サウジアラビア戦での日本は、縦方向へのスピードがあった。前に出てボールを奪うと、その勢いを攻撃の推進力へと変え、相手ゴールに迫ることができていた。

 しかし、その一方で、ゆっくりとパスをつないで攻撃を組み立てようとするときには、すぐに2本目、3本目のパスコースがなくなり、無理なパスを出さざるをえなくなった。その結果、サウジアラビアにボールを奪われ、危ういカウンターを受けることが少なくなかった。

 サウジアラビアは攻撃の組み立てが拙(つたな)く、日本が悪いボールの失い方さえしなければ、失点の不安はそれほどなかった。にもかかわらず、日本は自らのミスで、むざむざ相手に攻撃機会を与えていた。

 スピード感や力強さはあったものの、試合運びは極めて粗く、"事故"が起きかねない場面はピッチ上のあちこちで見受けられた。

 要するに、チーム全体が連動し、パスを出したら動くという俊敏性を発揮するなかで、ゲームをしっかりとコントロールする。そんな試合運びが、まったく見られなかったのだ。

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