サウジに勝利も、Jリーグ軽視の
ハリルに次戦までの代表強化は望めない

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ということはつまり、ハリルホジッチ監督は、「現状ではこれ以上、日本代表は強くならない」と宣言しているに近い。

 当然、フランス人指揮官も現実を理解しているはずだ。だからこそ、Jリーグにももっと目を向け、新戦力を起用し、彼らを育てなければならないはずなのだが、これまでやってきたことはまったく逆。親善試合であろうと、力が落ちる相手とのW杯2次予選であろうと、所属クラブで試合に出られない海外組、DF吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)やMF本田圭佑(ミラン/イタリア)らに出場機会を与えてきた。彼らに試合勘を取り戻してもらわなければならないし、どんなコンディションにあるのかを確認しなければならなかったからだ。

 本来、新戦力をテスト起用すべき機会が、試合に出られない海外組の調整の場に使われてきた結果、若手の発掘、ひいては世代交代に悪影響を及ぼしていたことは否定できない。

 今回のサウジアラビア戦で、ようやく本田の他、MF香川真司(ドルトムント/ドイツ)、FW岡崎慎司(レスター・シティ/イングランド)を先発から外したハリルホジッチ監督は、「確実に席が用意されている選手はいない」と話していたが、そんなことは当たり前の話。印象としては「遅きに失した」とは言わないまでも、「ここに来てやっと」の感は拭えない。

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