課題だらけでも、U-19日本代表が初のアジア王者になった意味 (5ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 日本サッカーが世界レベルに近づいていくためには、目の前にあるハードルをひとつずつクリアしていくしかないのだ。日本がこの大会の初優勝にたどり着くまで、少しずつ前に進んできた道のりのように。

 まずは、4大会連続で遠ざかっていたU-20W杯に出場できること。そして選手たちが19、20歳の段階で世界を経験できることの意味は大きい。

 キャプテンの坂井は前回大会にも出場し、アジアの壁に阻まれた苦い経験を持っている。「伝えるべきことは伝えなきゃいけないと思っていた」と話す坂井が感じていたのは、「プレッシャーではなく、責任」だったという。

「アジア最終予選突破(U-20W杯進出となるベスト4)が、まず目標だった。今回は絶対に(U-20W杯に)行きたいという気持ちが強かった。チームの立ち上げからキャプテンを任されてきて、僕がチームを引っ張って歴史を変えたかった」

 思いの丈を吐き出すように、真剣な表情で一気に語る坂井。だが、幼さの残る顔を突然ほころばせると、抑えきれないうれしさで声のトーンは一段上がった。

「持ってました、僕。持ってました」

 幸運の助けも借りながら、大きな一歩前進である。

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