日本、U-20W杯へ。5大会ぶりにアジアの壁を突破できた要因は? (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐藤博之●撮影 photo by Sato Hiroyuki

 例えば、前線にロングボールを蹴り込み、ヘディングで競り合ったこぼれ球を力づくで拾い、ゴチャついた状況を一か八かで抜け出す。タジキスタンの攻撃はそんなイメージだ。日本の守備の要、DF中山雄太(柏レイソル)も「相手の狙いが、そういう"事故"だというのはわかっていた」と語る。

 引いて固める守備を崩せず、日本が時間とともに焦(じ)れて雑な攻撃を増やすようだと、相手の思うつぼ。カウンターから失点、あるいはスコアレスのままPK戦突入といった最悪のシナリオも、考えられないわけではなかった。

 しかし、試合が始まってみれば、立ち上がりからボールを支配して攻め続ける日本が、8分にFW小川航基(ジュビロ磐田)のゴールで先制。両者の本来的な実力差を考えれば、この時点で、もはや勝負あった、である。

 U-19日本代表の内山篤監督に、勝利を確信したのは何点目のゴールだったかと尋ねてみても、返ってきた答えは「1点目」。内山監督が続ける。

「リツ(MF堂安律/ガンバ大阪)もあまり点が取れていなくて、仕掛けるのはいいが、無謀なところに入っていってボールを失うことがあった。でも(1点目の場面では)初めてシンプルにクロスを上げた。そこに小川が寄ってきた。その判断を共有し、お互いのプレーが合えば得点になる。(グループリーグ1、2戦目は)間違った判断でプレーしていたから、なかなか得点が生まれなかったが、それを改善できた彼らはすばらしかった」

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