本田圭佑1トップでハリルホジッチ延命。
勝ち点1の代償は高くつく

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Fujita Masato

 本田に代わって3の左に入った小林悠に、活躍の機会は少なかった。だが、攻撃力の高い相手の左サイドバック(ブラッド・スミス)の攻め上がりを抑え込むことには成功した。

 アンジェ・ポステコグルー監督が採用したオーストラリアの布陣も日本には幸いした。中盤ダイヤモンド型4-4-2。サイド攻撃をサイドバックの攻め上がりに頼る布陣だ。小林と原口を両翼に従えた本田の1トップは、相手の布陣にバッチリはまった。もし日本の前線の3人が従来通り、バランス悪く並んでいれば、オーストラリアはより多くのチャンスをつかんでいたはずだ。本田が真ん中に入り込む癖が、命取りになっていた可能性がある。

 岡崎の欠場は、まさに結果オーライ。偶然の産物が奏功した格好だ。しかし、問題はここからだ。1トップに座ることになった本田の件だ。2010年南アW杯。彼はそこで大活躍を演じ、ヒーローとなった。スター街道を歩むことになった。それから6年経ったいま、当時の勢いは全くない。1トップという同じポジションに立ったことで、違いというか、劣化は鮮明になった。ボールを収められない。局面を打開できない。シュートも打てない。

 その惨状にオーストラリアの記者も驚いたのか、試合後の会見でハリルホジッチに質問を投げかけた。本田のキレのないプレーについて、どう思うのか、と。

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