元ヤングなでしこ田中陽子の目に涙。ノジマステラが悲願の2部優勝 (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 万感の思いで優勝を味わっていたのが田中だ。2015年、スター軍団でもあるINAC神戸から2部のノジマステラへ志願してやってきた。同世代の仲間とともにサッカーの楽しさと厳しさを再確認してきた2年間だった。優勝のハイタッチの時にサポーターから「ステラに来てくれてありがとう」と声をかけられた。「逆に受け入れて応援してくれてありがとうって気持ちです」とはにかんだ田中。

「本当にいいチームで、自分がこのチームに......」ゆっくりとした口調で語る彼女の声が震える。「このチームにいれることが幸せだなって感じることができる。本当、この仲間がすごく好きです」。思わずあふれ出たその涙に、移籍を決断するまでの苦悩と、ここまでの2年間の想いが滲んでいた。

 移籍の際に"昇格"ではなく"優勝"にこだわっていた田中。「私はまだ2年目だけど、この1年は長かった......かな。でも、積み重ねられたものもあった。まだ課題もあるし、不安とチャレンジの期待とがある。自分たちはこれまでギリギリで1部に行けなかったし、強さがなかったのかなって思っていました。でも優勝したことで、この1年で強さが身についた気がします」と田中は笑った。

 ノジマステラの選手たちは寮生活を通じて、衣食住を共にすることで他チームとは異なる絆を築いている。それがピッチでも信頼感となって顕著に表れる。そのことを最も体現しているのがキャプテンの尾山沙希ではないだろうか。

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