2年越しの代表への思い。齋藤学、ロシアW杯への挑戦が始まる (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 長田洋平/アフロスポーツ●写真

 特筆すべきは、勝負に対する純粋さだ。

 9月25日、川崎フロンターレとのセカンドステージ優勝攻防戦では、何度もディフェンダーの群にドリブルで切れ込んでいる。アディショナルタイムには同点ゴールのアシストを決めた。しかしその直後に逆転されると、人目もはばからずに涙で頬を濡らしている。

「気持ちが入っていたから、悔しくって」

 そう語った齋藤はこの夏、ひとつの境地にたどり着いている。

「自分は心からサッカーを楽しんでいる、という姿を見ている人に伝えたいんです。できる限り多くの人に。自分のプレーに迫力を出したい」

 観客を熱狂させる。それはプロサッカー選手として究極的な目標だろう。彼はそこに向かっている。

 その点でW杯が特別な舞台であることは間違いない。

<世界の猛者と戦う>

 そこに齋藤は痺(しび)れを感じている。自身が楽しめなければ、人を楽しませることはできない。その追求は舌を巻くほどだ。

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