2年越しの代表への思い。齋藤学、ロシアW杯への挑戦が始まる (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 長田洋平/アフロスポーツ●写真

<27番目の選手>

 その扱いがそもそも不当と言える。齋藤は右サイドで縦への推進力を出せるし、左でサイドを封鎖し、タメを作るプレーもできるようになった。代表レギュラーの欧州組、本田圭佑や清武弘嗣と比較しても、何ら遜色はない。むしろ齋藤のプレーの方が冴えている。 

「自分の体を思うまま、自在に動かせるようにしたい。世界で戦えるように」

 そう思い立った齋藤は、この2年間、体を作り直してきた。積極的に栄養学を学び、実践し、ヨガや古武術やメンタルなどのトレーナーのところへ通った。結果、体のキレは増し、ケガも少なくなりつつある。

 そのドリブルは、Jリーグではもはやマーカーを寄せ付けない。2人がかりだろうが、3人がかりだろうが、スピードの変化を自在に操って"居合抜き"の要領で敵の裏を取り、"切り伏せて"しまう。ゴール前を横にスライドしながらシュートコースを見つけ、体の軸をぶらさずに打つコントロールショットは、「伝家の宝刀を抜く」の表現がふさわしい。

「まだまだです!」

 本人は決して現状に甘んじていない。満足したら成長は止まる、と腹をくくっているのだろう。謙虚さと向上心がいい塩梅(あんばい)で同居している。

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