「本田と香川の連係はまあまあだ」スペインの知将がハリルJに意外な評価 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Fujita Masato

 しかし、エチャリは後半のペースダウンを厳しく指摘している。

「後半、日本は立ち上がりでポゼッションする意思が曖昧になってしまい、精度も落ちていた。10分くらい経ってから、ようやく主導権を取り戻しているが、危ない入り方だった。長谷部、山口の立ち位置もパラレル(並列)になってしまい、攻守のバランスを欠いていた。もっとも、日本の実力はタイを大きく優り、致命傷にはなっていない。

 盛り返した日本は、PASILLO INTERIOR(バックラインの前を横切る"通路")を有効に使っている。本田が右サイドから中央へ横切り、左サイドを駆け上がった酒井高にパス、そこからのクロスを逆サイドでマークを外した香川が折り返し、決定機をつかんでいる。横への揺さぶりは、戦術的にも技術的にも高度だった。

 後半30分には長谷部がパスカットしてそのまま裏に流し、浅野が走り込んで2点目を決めている。おそらくこの速い攻撃を、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は狙っているのだろう。その点、森重真人はボールの出し方に注意するべきかもしれない。球出しの判断が遅く、いたずらにプレースピードをスローにしている。長谷部のように、相手の陣形が整っていない状況を狙う必要がある。そうすれば、もっと簡単に追加点が取れた」

 日本が2-0とリードして心理的に安堵したことも、エチャリは見逃さなかった。

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