ハリル劇場はスリル満点。W杯アジア予選は「心臓に悪い試合」が続く (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 今回の2試合は、「負傷者が出た」「所属クラブで90分プレーしていない選手がいた」「試合直前の合流になった選手がいた」といった、いくつかのマイナス要素を挙げ、「理想のフィジカルコンディションでなかった」とした。だからこそ、そうした要素が取り除かれていけば、今後はもっとよくなる、というのである。

 だが、果たして本当にそうだろうか。

 現状、所属クラブで90分プレーできていない選手の立場が、今後好転する保証はどこにもない。それどころか、ヨーロッパでのシビアなレギュラー争いを考えれば、立場を今よりも悪くする選手だって出てきかねない。

 ケガの発生を100%取り除くことなど不可能であり、直前合流にしても、国際Aマッチデーの日程上、今後も当然同じことは起こりうる。

 新シーズンが開幕したばかりの海外組がまだトップコンディションにないことは、一般論としては理解できるが、本当に状態が上がってくるかどうかは、もう少しシーズンが進んでみないことには判断できないのである。

 残念ながら、現時点で伸び盛りの若手が際立った活躍を見せてはいない以上、「日本がより強くなってくれる」理由は、ほとんど見当たらない。第一、「より強くなる」のは日本だけではないはずだ。

 それぞれの国が2試合ずつを戦い終え、おぼろげながらグループBの力関係が見えてきた。喜ぶべきか、悲しむべきか、久しぶりにハラハラドキドキの最終予選が見られることは、どうやら間違いなさそうである。

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