「残り全部勝つ」という落とし穴。
ハリルジャパン自滅の不安とは?

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO

 それだけに、ホームでの初戦となる日本戦は必勝態勢で臨んでくるはずだ。チケットはすでに完売で、収容人数6万5000人といわれるラジャマンガラ・スタジアムは大観衆で埋まることが予想される。

 そんな相手に「絶対に全勝する」と力んでゲームに入り、必要以上に前がかりになったり、強引に中央からこじ開けようとしたりすれば、待っているのは"自滅"だろう。

 必要なのは、「絶対に全勝する」と力むことではなく、エースのティーラシン・デーンダーを中心に猛攻を仕掛けてくるタイをいなし、逆にカウンターを見舞う冷静さとゲームコントロールだ。

 タイはサウジアラビアでの試合を終えてホームに戻ってくるわけで、コンディション面に不安がある。それゆえ、"前半勝負"を仕掛けてくる可能性がある。それなら、"後半勝負"を描いたゲームプランを立てるなど、戦略面をしっかり整理して臨む必要がある。そのあたりのゲームコントロールを、まさにベテランの本田やMF長谷部誠に求めたい。

 1試合を残して突破した2014年ブラジル・ワールドカップのアジア最終予選。5勝を挙げた日本は首位でグループBを戦い終えたが、それでも2分1敗を喫している。

 2010年南アフリカ・ワールドカップのアジア最終予選では、日本は4勝3分1敗の成績で、グループAの2位となったが、それでも2試合を残して突破を決めている。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る