五輪のOA枠。サッカー協会はその選考責任から逃げてはいけない (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by JMPA

 例えば、24歳と23歳の選手では、わずか1歳の差でそんなにも将来性に違いがあるのだろうか。若い選手に経験を積ませるという理由はいかにもそれらしく聞こえるが、だからといって、オーバーエイジを使わない理由にはならない。

 例えば、24、25歳の選手で、現在Jリーグで活躍していながら、これまで年代別日本代表に選ばれたことがないような選手を加えることは、「経験重視」の策としては非常に有効なものであるはずだ。

 そうした考えに沿うならば、今回のオーバーエイジの選手選考も、それほどおかしなものではなかった。

 DF塩谷司、DF藤春廣輝、FW興梠慎三は、いずれもJリーグではキラリと光る活躍を見せているが、A代表定着には一歩及ばない立場の選手である。彼らがリオ五輪を経験することでA代表の主力になりうる可能性があると考えれば、「経験重視」の策として非常に面白い選手選考だった。

 結果的に彼らがミスを犯し、チームの足を引っ張る形になったこともあり、国際経験に乏しいチームに国際経験がないオーバーエイジを入れるのはどうか、という批判もあったが、別にオーバーエイジで加わる選手が必ずしも国際経験豊富である必要はない。要は考え方だ。

 結局のところ、それぞれがそれぞれに異なる前提で主張を繰り出すから議論がかみ合わない。4年に一度、毎回同じことの繰り返しだ。

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