最後は「恨み節」も。手倉森誠監督のオヤジギャグに隠された本音 (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by JMPA

「いい流れじゃない? 世界で戦ったことのない選手と監督として、(初戦に敗れ)傷つけられた状態で、2戦目は2点を取られて勝ち点1をもぎ取れた。で、いよいよ勝つ時がきた。そう簡単に世界に出たことのないやつが勝っちゃいけないだろうなと、2点目を取られた時に思ったよ」

「今日勝ったところで次に負けたら何もねーなと思うと、ドラマティックジャパンは尻上がりに上るほうがいい」

 開き直りにも感じられる、率直なコメントだった。本来であれば、このくらいあけすけに話すタイプなのだろう。

 そんな手倉森監督から"恨み節"ともとれる発言が飛び出したのは、スウェーデン戦が終わり、敗退が決定した後の会見だった。オーバーエイジ(OA)選手に関する話の中で、「次の監督のOAマネジメントのアイデアになれば。今回は一任してもらったけど......」と、語った。「一任された」というのは、協力体制のなさについてほのめかしたと解釈できる。そして日本サッカー協会がフル代表のコーチとしての残留を望んでいることについては、「今はほっとしたい。今はそこにアンテナの針は向かない」と、一蹴した。

 時には冗談で聞く側を煙に巻こうとし、時には巧みに本音を織り混ぜたのが手倉森節だった。分かりやすいとはいえないが、時間がたってから検証すればまた違う側面が見えてくるかもしれない。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る