サッカー五輪運命のスウェーデン戦。「先制」にこだわれ! (2ページ目)

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by JMPA

 コロンビア戦のスタメンを決める際、ナイジェリア戦でミスが相次いだディフェンス陣に対して、「5失点した責任を押しつけるような交代はしたくない。自信を回復させたい」との理由からひとりも入れ替えず、サブに回したGK櫛引政敏に対しても、「必ず自信を回復させる機会をつくるから」と声をかけている。稀代のモチベーターである指揮官が、ひとりの選手に責任をなすりつけることはない。

 コロンビア戦でオウンゴールを犯し、試合後の取材エリアで目に涙をにじませた藤春も、翌日には笑顔を見せた。

「ひとりだけ暗いとチームの雰囲気が悪くなるし、周りもだいぶ気を遣ってくれている。みんなが『気にするな』と言ってくれたり、(MF中島)翔哉が、『次は俺にアシストして』と言ってくれたり。あれは嬉しかった。イジリも結構あります。集合したときにテグさん(手倉森監督)が俺をイジッて、みんなで笑っていたら、カメ(DF亀川諒史)とDF岩波(拓也)が、『反省してへんやん』と茶化してきたり、いい雰囲気にしてくれています」

「雨降って地固まる」ではないが、チームの結束はここに来て一層高まった印象だ。

 1、2戦目を見るかぎり、スウェーデンは日本にとってグループ内でもっとも戦いやすい相手だろう。50人以上の招集を各クラブから断られたとあって、ナイジェリアやコロンビアの前線の選手たちのように、1対1の対応で手を焼きそうなタレントは見当たらない。

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