サッカー五輪、「耐えて勝つチーム」が5失点すれば惨敗も当然 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 では、この試合ではどちらを採るべきなのか。

 もちろん、試合の見方に絶対的な正解などあるはずはないが、個人的に言えば、4得点したことよりも5失点したことを、より重要視するべきだと思っている。

 理由は単純。五輪代表のこれまでの戦い方が、しっかりとした守備をベースに失点を抑え、少ないチャンスを確実に生かすものだったからだ。

 今年1月に行なわれたリオ五輪アジア最終予選(アジアU-23選手権)のとき、手倉森誠監督は「今回の日本は『耐えて勝つチーム』だ」と話していたが、まさにそんな戦い方がこのチームの真骨頂だった。

 ところが、ナイジェリア戦に関して言うと、耐えて勝つ展開に持ち込めなかった。彼らは自分たちが望む展開に持ち込めなかったとき、意外なほどの脆(もろ)さを見せた。それはこの試合のスコアの推移を見ればよく分かる。

前半
6分、0-1
9分、1-1
10分、1-2
13分、2-2
42分、2-3
後半
52分、2-4
66分、2-5
70分、3-5
90+5分、4-5

 注目すべきは、最初の13分間である。日本はどちらかと言えば、静かな立ち上がりを望み、多少押し込まれても我慢して試合を進めることをイメージしていた。実際、キャプテンのMF遠藤航は、「(前半は)最低0-0。その中でチャンスを生かして1点取れればと思っていた」と語っている。

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