サッカー五輪代表、ブラジルに惨敗で「本当の自分たち」を知る (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Koji Watanabe/Getty Images

 この試合を見ていて思い出したのは5年前、日本がブラジルに2-3で敗れたU-17W杯準々決勝のことだ。日本は0-3とリードされながらも、諦めずに攻め続け、2点を返した。結果は1点差の惜敗。しかも、日本は試合終了直前にあわや同点ゴールかという際どいチャンスも作った。

 だが、当時のU-17日本代表を率いていた吉武博文監督は、試合を振り返って、こう語っている。

「0-3になってから、あの攻撃ができました、ではダメ。ケンカして泣かされた小さな子が、泣きじゃくりながら両腕をグルグル振り回していたら、たまたま相手の子に当たったようなものだから」

 今回の試合についても、まったく同じことが言える。勝負が決したあとにようやく開き直れたのでは、時すでに遅し、なのだ。

 しかも、5年前は泣いて両腕を振り回した結果、相手を2回殴ることができたが、今回はそれさえできなかった。ブラジルは前半の試合内容で日本の実力を見切り、攻撃の手を緩めた。後半は無理せず、慣らし運転で45分を終わらそう、という雰囲気だった。にもかかわらず、日本は一矢を報いることさえできなかったのである。

 今回の先発メンバーの中では、GK中村航輔、DF植田直通、DF室屋成、MF中島翔哉、MF南野拓実が当時の経験者だが、この5年間で開いた差に、少なからずショックを受けたのではないだろうか。

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