サッカー五輪代表、
腕試しのブラジル戦は「叩きのめされろ」

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • 時事通信社●写真 photo by Jiji photo

「やろうとしていることが一辺倒になってしまったね。(ボールを)獲った瞬間に前の意識を高めるなかで、慎三の足もとはフリックが決まれば攻撃に鋭さが出るけど、そこで失ったときは前にパワーを注いでいる分、深く攻め込まれてしまう。でも、こういうことが起こり得ることを体感できてよかった」

 守備面では、左サイドバックに藤春廣輝、右センターバックに塩谷司と、ふたりのオーバーエイジが加わったディフェンスラインの連係を急ピッチで確認している最中だ。

 ラインの上げ下げのタイミング、選手間の距離、ボールとは逆サイドのサイドバックの絞り方など、細かい約束事をピッチ上だけでなく、ミーティングの場で指揮官がホワイトボードや映像を使ってレクチャー。1-1で引き分けたセルジッペとの練習試合のあと、藤春が手応えをのぞかせる。

「今日の試合では得られるものもあったし、修正すべき部分も見つかった。それをしっかりと話し合って、ブラジル戦を迎えられれば一番いい。今はみんな疲れている。コンディションが上がってくれば問題はない。もっとよくなっていくと思います」

 7月30日に行なわれるブラジル戦は、日本にとってメダル獲得に向けた腕試しの場、試金石のゲームとなるのは間違いない。だが、重要なのは、この試合はあくまでも準備の一環にすぎず、本当の勝負はその先だという視点だ。

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