「マイアミの奇跡」から20年。あの夏の「熱気」は、今はもうない (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 そのうえオーバーエイジ枠でも、DFアウダイール、MFリバウド、FWベベットというA代表の主力を加えたメンバーは、そのままワールドカップに出場しても十分に優勝候補となりうるほど、絢爛豪華な戦力だったのである。

 そんなブラジルに対し、ワールドカップに一度も出場したことがなく、五輪でさえ28年ぶりの出場だった日本が、猛攻を耐えしのぎ、相手のミスに乗じて1点を奪い、何と勝利してしまうのである。

 当然、その瞬間のスタジアムの熱狂は、すさまじいものがあった。日本から数多く駆けつけたサポーターはもちろんだが、地元アメリカの観客たちもまた、とんでもない試合を目の当たりにした興奮に酔いしれていた。

 ちなみに、この試合が行なわれたオレンジボウル・スタジアム(本来はアメリカンフットボールのスタジアムだった)は、老朽化にともない2008年に取り壊されているのだが、その跡地に誕生したのが、マーリンズ・パーク。現在、MLBのマイアミ・マーリンズが本拠地とする野球場である。20年前、日本サッカー史に残る奇跡が起こった地で、今度は日本野球史に残るレジェンドが歴史的な記録を作ろうとしているのだから、巡り合わせとは不思議なものだ。

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